Secrets of the Artist

 hanashiro

 日本の素晴らしさを全世界の人々と分かち合うために、『筆旅』プロジェクトはスタートしました。その原点は絵手紙作家・花城祐子の旅日記にあります。

長年、ご朱印帳のような蛇腹型のスケッチブックに描き続けてきた、「私的な旅の思い出」。本人の旅に対する思い、そして世界観とは?

 

 
Hanashiro's works

『筆旅』の原型は、私的な旅日記

20年ほど前でしょうか、初めてこの形の旅日記を描いたのはギリシャ旅行でした。当時、わたしはすでに「絵と文字で思いを綴った絵手紙」を描いていましたが、絵手紙ははがきで、差し上げる人を思いながら描き、結果的に送ってしまうと手元に残りません。ですから自分のために、思い出を大切にするための旅日記が欲しくなりました。蛇腹型のスケッチブック(折本)は、旅を連続的に描いていけて、あとで眺めるのにも拡げて楽しめるので、わたしにはとても合っていました。この「私的な旅日記」こそが『筆旅』の原型です。 

 
 

Sachiko Hanashiro

描きたいと思ったものを順番に

旅日記は、その旅のなかで感じたことを素直に描いていきます。旅先で感動したもの、描きたいと思ったものを訪れた順に残していきます。みなさんが「写真を残したい」と感じてカメラのシャッターを切るように、わたしはスケッチし、色を重ねていきます。

 
 

Sketching

歩くような速度で描く

描く対象にもよりますが、それなりに時間がかかりますし、描いているその間、わたしは物事・対象物をよく見ています。ですから、一つひとつのことがいつまでも印象深く心に残るのです。でも、絵を上手に、きれいに描こうと思ったことはありません。言葉を入れるときは、まわりの音に耳を傾けてみたりもします。現場の雰囲気を残しておきたいと思っていますので、歩くような速度で描いています。

 

 
 
Sachiko Hanashiro

開けば、あの旅が目の前にひろがる

旅日記を手に取れば当時のことがはっきりと思い出されます。20年前のギリシャ旅行のことでさえ、いまでも鮮明に浮かんできます。ギリシャの旅日記は、計5冊・約19メートルの超大作になりました。ページを開けば、旅先の雰囲気が目の前にひろがるのも旅日記の大きな魅力です。

 


 
Tools

憧れ、喜び、そして切なさ……

旅日記はとても私的です。物事の魅力が伝わるのは、パーソナルな感情が込められているときだとわたしは思います。彼の地への憧れ、そこで得た喜び、感じた切なさなど、私のささやかだけど鮮やかな旅への思いに共感していただいて、楽しんでいただけたら、大変うれしく思います。



  Sachiko Hanashiro

花城 祐子(はなしろ・さちこ)

「絵手紙 花の会」を主宰し、長きにわたり絵手紙界を牽引する作家のひとり。1985年より絵手紙を描き始め、2000年頃から筆旅のような形のスケッチブックに旅の思い出を残す。歩く速度で描かれるスケッチによって、その時々の現場の空気感が色濃く反映されている点も、筆旅の魅力のひとつ。2000年に手紙文化の功労者として、逓信記念日郵政大臣賞を受賞。2007年より、日美展(公益財団法人 国際文化カレッジ)審査員を務める。TBS系列テレビ「プレバト!!」に、絵手紙講師として出演。 

 

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